特定技能外国人の面接では、質問を増やすことよりも、仕事に必要な適性・能力と、雇用条件への相互理解を同じ基準で確かめることが大切です。国籍、家族、宗教など仕事と関係のない事情ではなく、実際の業務、経験、職場で使う日本語、勤務条件、在留手続に必要な事実を確認します。
この記事では、受入企業がそのまま使える24の質問例と、聞いてはいけない質問、45〜60分の進め方、面接後の評価表をまとめます。質問文は職場の仕事内容に合わせて言い換えてください。
候補者に質問する前に、会社側の条件をそろえます。説明が曖昧なままでは、候補者の回答も比較できません。
- 実際に担当する作業と、特定技能の分野・業務区分
- 勤務地、勤務時間、交替勤務、休日、時間外労働の見込み
- 基本給、手当、控除の見込み、昇給の考え方
- 住居を用意するか、家賃や初期費用を誰が負担するか
- 入社までに必要な試験、在留手続、現実的な開始時期
求人票、雇用条件書、面接での説明が食い違わないようにします。日本人と同等以上の報酬など、特定技能雇用契約の基準も先に確認してください。
特定技能外国人を受け入れる流れを確認する
質問は6つの項目に分けます。全候補者へ共通する基本質問を用意し、回答は具体例と観察事実で記録します。
1. 仕事内容の理解と応募理由
- この仕事は、どのような仕事だと理解していますか。
- この仕事に応募した理由を教えてください。
- 仕事の中で難しいと思う作業は何ですか。
- 入社後、最初に教えてほしいことは何ですか。
「日本が好きだから」といった一般的な回答だけで判断せず、具体的な作業を理解しているかを見ます。会社側からも、良い面だけでなく、暑さ、寒さ、立ち仕事、夜勤など実際の負担を説明します。
2. 経験と技能
- これまで担当した仕事を、作業の順番に沿って説明してください。
- 仕事で安全のために必ず確認していたことは何ですか。
- ミスや異常に気づいたとき、誰にどのように報告しましたか。
- 経験のない作業を任されたとき、どのように覚えますか。
経験年数だけでなく、本人が実際に行った作業、使用した道具、確認手順を尋ねます。可能なら、写真、道具の模型、作業手順書を使って説明してもらいます。ただし、採用前に無償で実作業をさせることは避けます。
3. 職場で使う日本語
- 上司から長い指示を受けたとき、分からない部分をどう確認しますか。
- 「作業を止めて、責任者を呼んでください」と言われたら、何をしますか。
- 機械や設備に異常があった場面を想定して、上司へ報告してください。
- 遅刻しそうなとき、会社へどのように連絡しますか。
日本語能力試験などの結果は、在留資格の要件を確認する材料です。職場で安全に働けるかは、級だけでは分かりません。実際の指示を短く伝え、復唱、質問、報告ができるかを見ます。方言や流暢さを性格評価に置き換えず、業務上必要な意思疎通を評価します。
4. 勤務条件の相互確認
- この勤務時間と交替勤務の説明で、分からない点はありますか。
- 勤務地までの通勤方法と所要時間をどのように考えていますか。
- 休日、時間外労働、給与の説明で、確認したいことはありますか。
- 仕事を始めるうえで、会社に事前に伝えておきたい配慮はありますか。
「夜勤できますか」だけで終えず、開始・終了時刻、勤務の交替方法、交通手段を示して確認します。健康状態については、職務上必要な安全配慮の範囲で確認し、病歴や健康診断を一律に採否の材料にしないよう注意します。
5. 試験・在留手続・入社時期
- 特定技能の技能試験と日本語試験は、どの試験に合格していますか。
- 現在の在留資格と在留期限を確認できますか。
- 入社までに必要な手続や準備で、まだ終わっていないものはありますか。
- 手続に必要な期間を考えると、いつから働ける見込みですか。
海外在住者と国内在住者では手続が異なります。面接の回答だけで在留資格の可否を決めず、合格証明、在留カード、指定書などを適切な時点で確認します。試験合格前に面接すること自体が一律に禁止されているわけではありませんが、在留資格の許可までに要件を満たす必要があります。許可前に確定的な入社日を約束しないようにします。
特定技能の試験と免除の考え方を確認する
6. 定着と候補者からの質問
- 新しい職場で仕事を覚えるとき、どのような教え方が分かりやすいですか。
- 仕事や生活で困ったとき、どの言語で相談できると安心ですか。
- 長く働くうえで、事前に確認したいことは何ですか。
- 会社、仕事内容、給与、住居、支援について質問はありますか。
候補者からの質問時間を必ず設けます。質問が出ない場合は、理解できているとは限りません。「給与から引かれるもの」「住居費」「配属先」「相談方法」など項目を示して、確認したいものを選んでもらいます。
共通質問の後、採用経路に応じた事実確認を加えます。
表は横にスクロールできます
| 候補者 | 追加で確認すること | 注意点 |
|---|
| 国内在住 | 現在の在留資格・期限、就労先、退職予定、転職後の業務区分 | 1号の通算在留期間や届出を別途確認する |
| 技能実習から移行 | 技能実習の職種・作業、修了見込み、移行する業務区分 | 「技能実習を終えれば何でも免除」と判断しない |
| 留学から変更 | 卒業時期、試験合格、資格外活動の状況 | 許可前に特定技能の業務を始めさせない |
| 海外在住 | 試験、送出し手続、渡航準備、現地の連絡窓口 | 国ごとの手続と在留資格認定の期間を確認する |
在留資格の詳細を面接担当者だけで判断しない体制を作ります。登録支援機関、行政書士等へ依頼する場合は、誰がどの書類を確認するかを決めます。
厚生労働省は、公正な採用選考では本人の適性・能力に基づいて判断し、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項を把握しないよう求めています。外国人採用でも基準は同じです。
表は横にスクロールできます
| 避ける質問 | 問題になる理由 | 仕事に必要な聞き方 |
|---|
| 出身地、本籍、家族の出身国を詳しく聞く | 本人に責任のない事項で、差別につながるおそれがある | 業務に必要な言語での意思疎通を実演で確認する |
| 両親や家族の職業、収入、健康状態を聞く | 家族状況は本人の適性・能力ではない | 本人が提示された勤務条件で働けるかを確認する |
| 住居の間取り、持ち家か、同居人を聞く | 生活環境や家庭状況を採否材料にしやすい | 通勤方法と所要時間を確認する |
| 宗教、支持政党、尊敬する人物を聞く | 思想・信条の自由に関わる | 職場の安全・衛生ルールを守れるか具体例で確認する |
| 結婚予定、妊娠予定を聞く | 採用差別につながる | 勤務時間・出張など職務条件を全員に同じ形で説明する |
| 業務と関係のない病歴を広く聞く | 必要性のない健康情報の把握になる | 安全に業務を行うため必要な配慮があるかを確認する |
会社に配慮義務がある仕事上の事項まで聞けないという意味ではありません。高所作業、重量物、夜勤など、具体的な職務と安全上の理由を示し、必要な範囲に限って全候補者へ同じように確認します。
表は横にスクロールできます
| 時間 | 内容 | 会社側がすること |
|---|
| 5分 | 導入 | 面接の目的、時間、通訳の役割を説明する |
| 10分 | 仕事内容と経験 | 実際の作業を説明し、経験を具体例で聞く |
| 15分 | 日本語・技能の実演 | 指示、復唱、報告、安全確認を短い場面で見る |
| 10分 | 雇用条件 | 給与、控除、勤務、勤務地、住居を数字で示す |
| 10分 | 在留手続と入社時期 | 必要な試験・書類と未確定部分を分ける |
| 5〜10分 | 候補者からの質問 | 質問を促し、回答できない事項は確認日を伝える |
通訳が同席する場合、質問は短く区切り、まず候補者本人に答えてもらいます。通訳者が回答を補っていないか、本人が条件を理解しているかを確かめます。面接後は、候補者にも確認事項や回答を記録で渡せるようにします。
「明るい」「真面目そう」といった印象だけで採否を決めず、見えた行動を記録します。各項目を3段階で評価し、1または2の項目は入社後の教育で補えるかも検討します。
表は横にスクロールできます
| 評価項目 | 3:確認できた | 2:追加確認が必要 | 1:要件との差がある |
|---|
| 仕事内容の理解 | 主な作業と注意点を自分の言葉で説明できる | 概要は分かるが一部が曖昧 | 実際の仕事を別の仕事と理解している |
| 経験・技能 | 実際の手順と安全確認を具体的に説明できる | 経験はあるが担当範囲が不明 | 必要な経験を確認できない |
| 職場の日本語 | 指示を復唱し、不明点を質問・報告できる | 短い指示なら対応できる | 安全上必要な確認が難しい |
| 勤務条件の理解 | 勤務・給与・控除・勤務地を理解している | 再説明が必要な項目がある | 重要条件に認識の違いがある |
| 手続と開始時期 | 試験・在留状況を資料で確認できる | 一部の資料確認が残る | 現時点で要件との大きな差がある |
評価表には、点数だけでなく「どの質問への、どの回答で判断したか」を書きます。複数の面接官がいる場合は、先に別々に記録してから意見を合わせると、最初に話した人の印象へ引っ張られにくくなります。
登録支援機関は、1号特定技能外国人支援計画に基づく支援を受託できます。採用の判断は受入企業が行い、人材紹介を有料で行う場合は別の許可が関係します。「登録支援機関だから人材紹介もできる」と一括りにせず、契約範囲を確認します。
面接前に次の5点を決めてください。
- 候補者の募集・紹介を行った事業者と、その役割
- 通訳者の言語、守秘義務、候補者との関係
- 試験・在留資格・業務区分を誰が確認するか
- 雇用条件を誰がどの言語で説明するか
- 採用後の支援担当者と相談窓口
登録支援機関を比較するときは、対応言語だけでなく、該当分野の実績、面談時の通訳体制、支援担当者、追加料金になる業務を確認します。
条件に合う登録支援機関を診断する
面接に合格しても、すぐに就労を始められるとは限りません。次の順に確認します。
- 技能試験・日本語試験または免除要件を証明書で確認する
- 実際の仕事内容が、受け入れる特定技能の分野・業務区分に合うか確認する
- 求人時、面接時、雇用契約書の条件をそろえる
- 候補者が十分に理解できる言語で雇用条件を説明する
- 1号の場合は支援計画と支援の委託範囲を決める
- 申請、許可、入社準備に必要な期間を含めて開始日を調整する
事前ガイダンスは、雇用契約を結んだ後、在留資格の申請前に行う法定支援です。採用面接と同じではありません。面接で条件を説明したから事前ガイダンスが不要になるわけではない点にも注意してください。
特定技能の雇用契約書で確認する項目を見る
家族について聞いてもよいですか?
家族の職業、収入、健康状態、出身地などは、本人の仕事上の適性・能力と関係がなく、公正な採用選考の観点から避けます。勤務時間や転勤など必要な職務条件を全員に同じ形で説明し、本人が対応できるかを確認してください。
日本語能力試験N3なら、現場の日本語も問題ありませんか?
試験結果だけでは判断できません。実際の職場で使う指示、復唱、報告、質問を短い場面で確認します。安全に関わる言葉は、入社後の教育内容にも反映します。
技能試験に合格する前でも面接できますか?
試験合格前の面接が一律に禁止されているわけではありません。ただし、在留資格の許可を受けるまでに必要な要件を満たさなければなりません。会社は合格や許可を前提に断定せず、未確認事項と期限を分けて管理します。
登録支援機関へ面接を任せられますか?
通訳や条件説明を補助してもらうことはできますが、雇用主としての採用判断と雇用条件の説明は受入企業が責任を持ちます。また、人材紹介と支援委託は別の業務です。紹介事業者の許可と契約関係も確認してください。
通訳を入れるときの注意点は何ですか?
質問を一つずつ短くし、候補者本人が先に答え、通訳はその後に訳します。通訳が候補者の回答を作っていないかを確認し、重要な雇用条件は口頭だけでなく候補者が理解できる言語の書面でも示します。
面接の質問表は、採用するたびに使い回すだけでなく、入社後に起きた認識違いを基に更新してください。登録支援機関の選定や支援体制に迷う場合は、分野、地域、対応言語などの条件から候補を確認できます。
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このページは2026年9月30日に一次情報を確認しています。制度や運用は変更される場合があります。個別の在留資格、採用選考、労務管理については、出入国在留管理庁、都道府県労働局、ハローワーク、資格を持つ専門家へ確認してください。