「特定技能の試験」と一口に言うが、受けるものは2つある。技能の試験と日本語の試験である。

面倒なのは、この2つで探しに行く先がまったく違うところだ。日本語のほうは全分野で共通なのに、技能のほうは分野ごとに実施する団体が別で、16通りある。

日本語の試験は、全分野で共通

出入国在留管理庁が挙げているのは2つ。

  • 国際交流基金日本語基礎テスト
  • 日本語能力試験(参考として挙げられている。水準としてはN4以上)

どちらかを満たせばよい、という関係になっている。

介護分野だけは、これに介護日本語評価試験が加わる。介護の言葉は生活の日本語と別物なので、専用の試験が用意されている、という位置づけである。

技能の試験は、分野ごとに実施団体が違う

ここが探しにくい。入管庁のページから各団体のサイトへ飛ぶ形になっていて、飛び先は分野ごとに別である。

分野技能試験を実施しているところ
介護厚生労働省
ビルクリーニング全国ビルメンテナンス協会
工業製品製造業工業製品製造技能人材機構
建設建設技能人材機構
造船・舶用工業日本海事協会
自動車整備日本自動車整備振興会連合会
航空日本航空技術協会

これで全部ではない。試験実施要領は分野別に1番の介護から16番の木材産業まで並んでおり、飲食料品製造業・外食業・林業なども含まれる。

つまり「特定技能の試験を調べる」という作業は、自社の分野を先に確定させてから、その分野の団体を探すという順番でしか進まない。分野が決まっていない段階で試験日程を調べても、見るページが定まらない。

なお、試験を日本語だけで行う分野もあれば、現地語で行う分野もある。どちらかは分野別運用要領に書かれている。

技能実習2号からの移行では、試験が免除されることがある

すでに技能実習2号で働いていた人を特定技能で雇う場合、試験の話が変わる。入管庁のQ&A(Q50・Q60)は、条件を次のように整理している。

「良好に修了」の中身は、まず数字で決まっている。

技能実習2号を良好に終了しているとは、技能実習を計画に従って2年10月以上修了していることをいいます。

そのうえで、免除の範囲は「これからやる仕事」と「実習でやっていた職種・作業」の関係で分かれる。

実習の職種・作業との関係技能試験日本語試験
関連性が認められる免除免除
関連性が認められない必要免除の扱い

関連性が無くても日本語のほうは免除になる、というのがQ60の説明である。日本語能力の水準が国際交流基金日本語基礎テストまたはN4以上とされている分野・区分では、原則として実習の職種・作業にかかわらず日本語試験が免除される。

どの業務区分とどの職種・作業に関連性があるかは、入管庁が制度説明資料で対応表を出している。自己判断せず、そこで確かめるところである。

2027年4月1日から、免除が効かなくなる人がいる

見落としやすい但し書きがQ50に付いている。

ただし、技能実習法施行以前の「技能実習」等を修了している場合には、令和9年4月1日以降は、技能及び日本語能力の証明のため、技能及び日本語能力に係る試験等のいずれにも合格することが求められます。

技能実習法(2017年施行)より前の制度で実習を終えた人の話である。いまは免除が効いていても、2027年4月1日を境に、技能と日本語の両方の試験が必要になる

古い実習の修了者を採用する予定があるなら、この日付は逆算の起点になる。

特定技能2号には、免除の道が無い

Q60の末尾に一行ある。

なお、「特定技能2号」については、各試験に合格する必要があります。

1号で免除を受けて入った人も、2号へ進むときは試験を受ける。1号の免除が2号まで続くわけではない。

介護分野には、試験以外の道がある

同じQ60によれば、令和7年12月1日時点で、介護分野は次の2つが技能水準・日本語能力水準を満たすものと評価されている。

  • 介護福祉士養成施設を修了した
  • EPA介護福祉士候補者として在留期間(4年間)を満了した

介護以外の分野で同じような扱いがあるかは、分野別運用方針と運用要領を見ることになる。

受験回数と、不正のあつかい

回数について、Q58はこう答えている。入管庁が公表した試験方針に受験回数を制限する規定は無い。ただし詳細は分野を所管する省庁に確認してほしい、という但し書きが付く。分野側で独自の運用がありうる、と読むのが安全である。

不正のほうは厳しい。Q59によれば、不正が発覚した場合、その試験に合格したことをもって技能水準・日本語能力水準を満たすとは認められず、在留資格の取消し等の措置が執られる。採用したあとに発覚しても、受入企業の側で人がいなくなる。

制度の土台が2025年に置き換わっている

もう一つ、資料を探すときに引っかかるところがある。

分野横断の方針は、2025年(令和7年)3月11日に「特定技能制度及び育成就労制度に係る試験の方針」へ切り替わった。同じ日に、それまでの「「特定技能」に係る試験の方針について」は廃止されている。

検索で出てくる解説記事が古い方針を参照していることがあるので、方針そのものを確認するときは日付を見たほうがよい。

調べる順番

  1. 自社が受け入れる分野と業務区分を確定させる
  2. 採用する人が技能実習2号の修了者かを確認する(2年10月以上かどうか)
  3. 修了者なら、実習の職種・作業との関連性を制度説明資料の対応表で確かめる
  4. 免除にならない部分について、その分野の実施団体のサイトで試験を確認する
  5. 日本語は全分野共通(介護のみ介護日本語評価試験が加わる)

試験日程・受験料・合格率は分野ごとに異なり、実施団体のサイトが一次情報になる。この記事では扱わない。入管庁も、試験実施予定一覧表について「掲載時における情報」であり最新は各試験のサイトで確認するよう注記している。

出典

いずれも2026年8月28日に取得した。制度の運用に関わる情報は更新されるため、申請の前に必ず原典を確認してほしい。