特定技能で外国人を受け入れられる会社の条件。過去1年の離職と行方不明で止まる
人手が足りない。だから特定技能で採りたい。 そこまでは決まっていても、受け入れられるかどうかを決めるのはこれからやることではなく、過去1年に自社で起きたことです。 同じ仕事をしていた人を辞めさせていれば止まる。行方不明者を出していても止まる。 人材の手配から動き出して、申請の段になって初めてここに気づく会社が少なくありません。 先に自社を確かめておけば、順番を間違えずに済みます。
可否を決めるのは、これからではなく過去1年
受け入れる側の会社は、制度の上で「特定技能所属機関」と呼ばれます。 満たすべきことは大きく2つに分かれていて、1つは 雇用契約そのものが適正であること、 もう1つは会社の側にきちんと受け入れる力があることです。
前者でまず出てくるのが報酬です。運用要領は「外国人の報酬額が日本人と同等額以上であること」 を求めています。日本人が同じ仕事で受け取る額より低い条件は、そこで通りません。 あわせて、出入国管理関係法令・労働関係法令・社会保険関係法令・租税関係法令の遵守が前提になります。 社会保険の未加入や住民税の未納があると、租税関係法令を守っているとは評価されません。
ここまでは想像がつく話です。問題は後者で、 基準の中身が過去1年の自社の実績を見る作りになっていることです。 人を採ろうとしている今ではなく、去年何が起きたかで決まります。
同種の業務で人を辞めさせていないこと
特定技能基準省令の第2条は、契約を結ぶ日の1年前から後にかけて、 受け入れる外国人が従事する業務と同種の業務に就いていた労働者を 離職させていないことを求めています。
すべての退職が引っかかるわけではありません。省令は4つを除いています。
- 本人が自分から辞めた場合
- 定年、あるいはそれに準じる理由による退職
- 本人の責めに帰すべき重大な理由による解雇
- 期間の定めのある契約が、期間満了で終わった場合。 ただし本人が更新を申し込んだのに、会社が正当な理由なくそれを断ったのなら、 これには当たりません
数える相手の範囲も決まっています。フルタイムで雇っている日本人・中長期在留者・ 特別永住者の従業員で、パートやアルバイトは含みません。 言い換えると、残るのは会社側の都合で辞めさせた場合です。 人が足りないから外国人を採りたい、という動機と、 同じ仕事で人を減らしていた事実は、制度の上で両立しません。 ここは「同種の業務」に限った話なので、 まったく別の部署の整理は対象になりません。自社のどの業務で採るのかを先に決めておくと、 確かめる範囲がはっきりします。
行方不明者を出していないこと
同じ第2条が、契約日の1年前から後にかけて、 自社の責めに帰すべき事由によって外国人の行方不明者を発生させていないことを求めます。 ここでいう外国人には、技能実習生として受け入れた人も含まれます。
「責めに帰すべき事由」は、たとえば賃金を雇用条件どおりに支払っていなかった場合が挙げられています。 つまり、逃げられたという事実だけで自動的に止まるのではなく、 なぜそうなったかが見られます。とはいえ実務では、 過去に行方不明を出した会社は説明の負担が一気に重くなります。
支援を自社でやるには、2年の実績が要る
1号特定技能外国人には、生活と仕事の両面で支援を行う義務があります。 その支援を自社で担うには、次のどちらかに当てはまる必要があります (ほかに、これらと同程度に支援を適正に実施できると認められる場合もあります)。
- 過去2年間に、就労できる在留資格の中長期在留者を適正に受け入れ、 または管理した実績があること
- 過去2年間に中長期在留者の生活相談業務に従事した経験のある役員・職員がいること
そのうえで、支援責任者を1名、 外国人が働く事業所ごとに支援担当者を1名以上、役員か職員の中から選ぶことになります (支援責任者は支援担当者を兼ねられます)。
初めて外国人を受け入れる会社は、たいていここで止まります。 過去2年の実績も、相談業務の経験者もいないためです。 その場合の道が、支援の全部を登録支援機関に委託することです。 全部を委託すれば、この基準を満たしたものとみなされます。 委託先を探す段階で、当社のような比較の場が要るのはこの局面になります。
ヤトエルは、出入国在留管理庁の登録簿にある11,575機関を、 都道府県・分野・対応言語から比べられるようにしたものです。 登録簿に無い項目(費用の目安・いま新規の相談を受け付けているか)は、 事業者ご本人からいただいた回答だけを載せ、回答が無い欄は空けてあります。
掲載も相談も無料です。連絡が届くのは、お選びいただいた機関だけになります。
人数の枠は、原則ない
何人まで受け入れられるのか、という問いには、運用要領がはっきり答えています。原則として、会社ごとの受入れ人数枠は設けられていません。 ただし一部の分野には枠があり、その内容は分野ごとの別冊で定められています。
分野によっては、告示で上乗せの基準が置かれている場合もあります。 自社の分野に枠があるかどうかは、別冊(分野別)を見るのが早い。 枠が無い分野であっても、支援の体制が人数に見合っているかは別に見られます。
最後に、避けたい事故を1つ。労働関係法令に違反する行為は欠格事由の対象で、5年間、受入れが認められないことがあります。 保証金の徴収や違約金の契約があると知りながら雇用契約を結んだ場合も同じです。 人材を紹介してくる相手が、送り出しの側でそうした契約を結ばせていないか。 契約を結ぶ前に確かめておく価値があります。
よくある質問
特定技能で外国人を受け入れられるのは、どんな会社ですか?
出入国管理関係法令・労働関係法令・社会保険関係法令・租税関係法令を守っていること、報酬額が日本人と同等額以上であること、そして過去1年間に同種の業務の労働者を離職させておらず、自社の責めによる行方不明者も出していないことが必要です。さらに支援を自社で行う場合は、過去2年間の中長期在留者の受入れ実績などが求められます。
1年以内に退職者が出ていると受け入れられませんか?
すべての退職が対象になるわけではありません。省令は4つを除いています。本人が自分から辞めた場合、定年など通常の退職、本人の重大な理由による解雇、そして有期契約が期間満了で終わった場合です。ただし4つ目は、本人が更新を申し込んだのに会社が正当な理由なく断ったときには当たりません。数える相手はフルタイムで雇っている日本人・中長期在留者・特別永住者の従業員で、パートやアルバイトは含みません。
特定技能の受け入れ人数に上限はありますか?
原則として、会社ごとの受入れ人数枠は設けられていません。ただし一部の分野には枠があり、分野別の運用要領で定められています。介護のように事業所単位で人数が決まる分野があるため、自社の分野の別冊を確認してください。
登録支援機関に委託しないと受け入れられませんか?
自社で支援を行うことも可能です。ただし過去2年間に中長期在留者を適正に受け入れた実績があるか、生活相談業務の経験がある役員・職員がいることが求められ、そのうえで支援責任者と事業所ごとの支援担当者を選任する必要があります。この条件を満たせない場合は、支援の全部を登録支援機関に委託することで基準を満たしたものとみなされます。
労働関係法令に違反していると、どうなりますか?
労働関係法令に違反する行為は欠格事由の対象となり、5年間、特定技能外国人の受入れが認められないことがあります。保証金の徴収や違約金契約があることを知りながら雇用契約を結んだ場合も同じ扱いです。
出典(一次情報)
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」令和8年8月(2026年9月6日取得)PDF(同庁)
- 離職と行方不明の基準は、同要領が引く特定技能基準省令第2条第2号・第3号。 支援体制の基準は同条第2項第1号イ・ロ。報酬と法令遵守は同要領「第3 受入れ機関の責務」。 人数枠の記述は同要領「分野に特有の事情に鑑みて定める基準」の留意事項。
- 介護分野の人数枠は、厚生労働省「運用要領別冊(介護分野)」に 「1号特定技能外国人の人数枠は、事業所単位で、日本人等の常勤の介護職員の総数を 超えないこととされています」とあります(2026年9月6日取得)PDF(厚生労働省)
- 掲載11,575機関は、同庁の登録支援機関登録簿をもとに ubusuna works が編集・加工して数えたものです(2026-09-05時点)。
あわせて読みたい関連記事
登録支援機関の一覧はどこにあるか。公式の登録簿に載っているものと、載っていないもの
入管庁の登録簿は10欄。対応可能言語まで載っている一方、費用と分野ごとの実績は入っていません。
登録支援機関の選び方:委託前に確認すべき7項目と、登録番号の確かめ方
契約前に確認すべき7項目と、登録簿での登録番号の確認方法を解説。月額の相場は費用のページへ。
外国人採用のコストは高い?特定技能・育成就労と人材紹介・求人広告・派遣を徹底比較
特定技能・育成就労の採用コストを1人あたり年間総額で人材紹介・求人広告・派遣と比較。助成金活用で実質負担を下げる方法も解説。