特定技能外国人の給料に、全国共通の固定額はありません。受入企業は、就業地と業種に適用される最低賃金を下回らないことに加え、同等の業務に従事する日本人と同等以上の報酬になるように決めます。
「最低賃金を超えていればよい」という決め方では足りません。仕事内容、責任、年齢、経験、会社の賃金規程をそろえて比較し、手当と控除を分けて説明できる状態にします。
給与を決めるときは、次の4つを別々に確認します。
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| 確認する数字 | 何を示すか | 確認資料 |
|---|
| 適用される最低賃金 | 法律上、下回れない時間額 | 都道府県別・産業別最低賃金と発効日 |
| 日本人の比較対象者の報酬 | 同等以上かを判断する基準 | 賃金規程、賃金台帳、職務内容 |
| 特定技能外国人の総支給額 | 基本給と各手当の合計 | 雇用条件書、給与規程 |
| 控除後の見込み額 | 税・社会保険・合意した費用を引いた目安 | 控除一覧、住居費等の根拠 |
最低賃金は最初の下限確認です。日本人との比較は別の基準なので、最低賃金を上回っていても、日本人の比較対象者より報酬が低ければ特定技能の基準を満たしません。
1. 就業地・分野・実際の仕事内容を確定する
まず、勤務地と実際に担当する仕事を確定します。同じ会社でも、配属先が変われば適用される地域別最低賃金が変わることがあります。産業別最低賃金がある業種では、地域別と産業別のうち適用される高い方を確認します。
特定技能の分野名だけで給与を決めず、毎日の作業、判断を任せる範囲、部下への指示、機械や設備の責任まで職務として書き出します。日本人との比較対象を選ぶ土台になります。
2. 最低賃金の金額と発効日を確認する
厚生労働省の地域別最低賃金一覧で、実際の就業地の金額と発効日を確認します。年度の改定直後は、都道府県によって新額の発効日が異なります。求人を出した日ではなく、働く期間に適用される額で給与を計算してください。
月給制でも、最低賃金との比較は時間額に換算して行います。基本的な考え方は、最低賃金の対象になる月給を、1か月平均所定労働時間で割る方法です。時間外・休日・深夜の割増賃金や、通勤手当など最低賃金の計算に含めない賃金を混ぜないようにします。変形労働時間制を使う会社は、就業規則と年間カレンダーを基に、社会保険労務士や労働基準監督署へ確認すると安全です。
厚生労働省の地域別最低賃金一覧を見る
3. 比較する日本人を選ぶ
比較対象は、同じ会社で同等の業務に従事する日本人です。職種名が同じだけでは十分ではありません。次の順に条件を近づけます。
- 実際の仕事内容と担当工程
- 判断・管理・安全上の責任
- 年齢
- 同じ仕事の経験年数
- 資格、技能等級、社内評価
完全に同じ人がいない場合は、会社の賃金規程や、最も近い職務の日本人を使って差を説明します。比較対象も賃金規程もない場合は、近隣の同種業務の賃金水準など、客観的な資料を用意します。
出入国在留管理庁の「報酬に関する説明書」では、申請人と日本人比較対象者について、職務内容、責任、年齢、性別、経験年数、月額または時給などを記載します。採用担当者の感覚だけで決めず、後から同じ説明を再現できる資料を残してください。
4. 基本給と手当を同じルールで比較する
比較するときは、名称だけでなく手当の性質を確認します。職務や技能に対して全員へ同じ基準で支給する職務手当・資格手当は、比較に含められる場合があります。一方、実費を補う性質の通勤手当、扶養手当、住宅手当などは、特定技能の報酬比較に含めない扱いになることがあります。
たとえば、次の式を別々に示すと誤解を防げます。
基本給 A円 + 職務に対応する手当 B円 = 比較する報酬 C円
総支給 C円 + 実費弁償等の手当 D円 = 給与明細の支給合計 E円
残業代を「毎月必ず出る給与」として基本給に足して比較しないでください。時間外労働が発生したときは、通常の給与とは別に法定の割増賃金を支払います。
5. 控除する費目と金額を一覧にする
雇用条件書には、税金、社会保険料、雇用保険料、食費、居住費など、定期的に給与から控除する費目と見込み額を記載する欄があります。法令で定めるもの以外を給与から控除する場合は、労使協定などの根拠も確認します。
会社が用意する住居については、家賃、共益費、光熱費、寝具や備品の費用を混ぜずに示します。会社が実際に負担する額を大きく超える費用を本人へ負担させないよう、賃貸借契約書、人数、面積、計算根拠を残してください。
本人へは「総支給額」だけでなく、次の順に説明します。
- 基本給と手当
- 税・社会保険料など法定控除の見込み
- 住居費など会社が控除する項目
- 控除後に残る手取りの見込み
- 金額が変わる条件
説明は、本人が十分に理解できる言語で行い、口頭だけで終わらせず書面を渡します。
6. 決定根拠を申請書類と給与計算へそろえる
求人票、面接時の説明、雇用契約書、報酬に関する説明書、給与計算の内容を一致させます。入社後に賃金規程や最低賃金が変わったときは、給与を再確認し、必要な変更手続を行います。
特定技能の雇用契約書で確認する6条件を見る
次の表を1人ごとに作ると、申請担当と給与担当の認識違いを減らせます。
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| 項目 | 記入する内容 |
|---|
| 就業地・分野・業務区分 | 実際の配属先と担当作業 |
| 適用最低賃金 | 地域別または産業別の金額、発効日 |
| 雇用形態・所定時間 | 月給・時給、1日・週・月平均の所定時間 |
| 比較する日本人 | 職務、責任、年齢、経験、社内等級 |
| 日本人の報酬 | 基本給、比較に含める手当、算定時点 |
| 申請人の報酬 | 基本給、比較に含める手当、差がある場合の理由 |
| その他の手当 | 通勤、住宅、扶養などの名称と金額 |
| 控除 | 税、社会保険、雇用保険、住居費等の名称と見込み額 |
| 本人への説明 | 言語、説明日、説明者、質問への回答 |
| 保存資料 | 賃金規程、賃金台帳、職務記述、雇用条件書、説明書 |
技能実習2号または3号を良好に修了して特定技能へ移行する場合も、「技能実習時より少し上げればよい」とは限りません。出入国在留管理庁の運用では、技能実習2号修了者はおおむね3年、3号修了者はおおむね5年の経験を有するものとして、日本人の比較対象者を選ぶ考え方が示されています。
同じ仕事をする入社1年目の日本人だけを比較対象にせず、本人の経験に近い日本人の給与を確認します。技能実習から仕事内容や責任が変わる場合は、その違いも職務記述に反映してください。
最低賃金だけを見て決める
最低賃金は下限であり、日本人と同等以上という特定技能の基準は別にあります。両方を確認します。
比較対象をパート・アルバイトにする
所定労働時間、仕事内容、責任、経験が違う人を、時給だけで比べると説明がつきません。実態が最も近い日本人を選びます。
日本人の総支給と外国人の手取りを比べる
同じ段階の金額を比較します。日本人の基本給と外国人の控除後手取りを比べることはできません。
残業代を固定収入として足す
発生が確定していない時間外手当を通常の報酬に足しません。固定残業代を使う会社は、対象時間、金額、超過分の支払いを明確にし、最低賃金・割増賃金の計算を別に確認します。
住居費をまとめて天引きする
「生活費」など一つの名称にせず、家賃、共益費、光熱費などを分け、金額と根拠を説明します。
最低賃金の改定日を見落とす
新しい金額は全国同日に始まるとは限りません。配属先の都道府県の発効日を確認し、その日から新しい下限を満たすよう給与計算を更新します。
申請前に、少なくとも次の資料をそろえます。
- 雇用契約書・雇用条件書
- 報酬に関する説明書
- 就業規則・賃金規程
- 日本人比較対象者の職務内容と賃金を確認できる資料
- 特定技能外国人の職務記述書
- 年間休日・勤務カレンダーと所定労働時間の計算
- 控除項目と金額の根拠資料
- 本人へ説明した言語・日付・担当者の記録
個人情報を社外の登録支援機関や申請担当者へ渡す場合は、必要な範囲を決め、安全に共有します。
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| 確認内容 | 主な確認先 |
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| 最低賃金、割増賃金、控除、労働時間 | 都道府県労働局、労働基準監督署、社会保険労務士 |
| 特定技能の報酬基準、在留資格申請 | 出入国在留管理庁、申請を扱える行政書士・弁護士 |
| 雇用条件の多言語説明、生活支援 | 受入企業、委託する登録支援機関 |
| 給与計算・社会保険・税 | 会社の給与担当、社会保険労務士、税理士等 |
登録支援機関へ支援を委託しても、雇用主として給与を適正に決め、支払う責任は受入企業にあります。依頼先を比較するときは、対応言語だけでなく、給与・控除の説明をどこまで支援するか、労務や在留申請を誰と連携するかを確認してください。
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特定技能外国人の給料は月額いくら以上ですか?
全国共通の月額はありません。就業地・業種に適用される最低賃金を満たし、同等の仕事をする日本人と同等以上になるように決めます。所定労働時間や手当が会社ごとに違うため、月額だけを他社と比べて判断できません。
日本人の比較対象者がいない場合はどうしますか?
賃金規程があれば、その規程に基づいて同等以上であることを説明します。規程や適切な比較対象者がいない場合は、近隣の同種業務の賃金水準など、客観的な資料を準備します。個別の資料の足り方は申請先へ確認してください。
ボーナスを含めて日本人と同等以上にできますか?
日本人に賞与を支給する制度がある場合、同じ基準を特定技能外国人にも適用する必要があります。ただし、支給が確定していない賞与で毎月の不足分を補う設計は避け、基本給と通常の手当で基準を満たすか確認します。
家賃や水道光熱費を給与から引けますか?
法令上の控除以外は、労使協定などの根拠が必要です。費目、金額、計算根拠を分け、本人が十分に理解できる言語で説明します。会社が用意する住居の費用は、実費や合理的な負担額を確認してください。
給料を変更したら届出が必要ですか?
雇用契約の内容を変更した場合、特定技能所属機関による届出の対象になることがあります。変更日、変更理由、本人への説明を記録し、期限と必要書類を出入国在留管理庁の案内で確認します。
面接では給与をどこまで説明しますか?
基本給だけでなく、手当、勤務時間、控除、住居費、手取りの見込みまで具体的に説明します。候補者から質問を受け、採用後の雇用条件書と食い違わないようにします。
特定技能の面接で聞く質問例を見る
給与を決める作業は、在留資格申請の書類作りだけではありません。入社後の給与明細まで同じルールで運用できるよう、人事、給与、現場、申請担当、支援担当の役割を先に決めてください。
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このページは2026年10月1日に一次情報を確認しています。最低賃金、制度、様式、運用は変更される場合があります。実際の就業地・業種の最低賃金と、個別の在留資格・労務管理については、出入国在留管理庁、都道府県労働局、労働基準監督署、資格を持つ専門家へ確認してください。