営業に来た会社の資料に、登録番号が印字されている。数字が並んでいるだけで、なんとなく信用してしまう。
その番号が本物かどうかは、その場では誰も確かめていない。実際のところ、番号が印字されていること自体は何の証明にもならない。証明になるのは、その番号が公表されている名簿の上で、同じ名前と結びついていることだ。
特定技能で外国人を受け入れる会社には、生活のオリエンテーション、住居の確保、日本語学習の機会の提供、相談への対応といった支援の義務がつく。これを自社でやりきれない場合、外部に委託できる。その委託先が登録支援機関(=特定技能外国人の支援を受け入れ企業の代わりに担う事業者)である。
ただし、誰でも名乗れるわけではない。登録支援機関の登録は出入国在留管理庁(=外国人の出入国と在留を管理する国の機関)が管轄し、登録された事業者は登録簿として公表されている。登録番号は、その登録簿の上での背番号にあたる。
ここが大事
「登録支援機関です」という自称と、「登録簿に載っている」という事実は別のものです。確認先は営業資料ではなく、出入国在留管理庁が公表している登録簿です。
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身構える必要はない。やることは、公表資料を開いて名前か番号を探すだけである。
- 出入国在留管理庁のサイトで「登録支援機関登録簿」のページを開く
- 公表されているファイルを開き、事業者の名称で探す(正式名称で探す。屋号や略称では出ないことがある)
- 見つかった行の登録番号・登録年月日・住所を、受け取った資料と一行ずつ突き合わせる
出典はここである。出入国在留管理庁「登録支援機関登録簿」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/nyuukokukanri07_00205.html
突き合わせで見たいのは、一致しているかどうかだけではない。ずれ方も見る。名称が微妙に違う、住所が資料と別の県になっている、番号は載っているのに名前が別法人になっている。こういうときは、担当者に理由を聞けばいい。支店の住所を書いていた、社名変更の途中だった、という説明で片づくこともある。片づかないこともある。
ここが最初のつまずきどころだ。登録簿を開いた人は、たいてい何かを探して落胆する。
記載される項目は、登録番号・氏名又は名称・登録年月日・住所など。つまり、その事業者が誰であるかという情報である。
登録簿でわかること
登録番号、氏名又は名称、登録年月日、住所など。国の登録を受けた事業者として実在するかどうか。
登録簿ではわからないこと
対応できる言語、得意な分野、これまでの支援実績、そして料金。どれも記載されません。
落胆の中身を分解すると、四つになる。
一つめは言語だ。ベトナム語の通訳がいるのか、インドネシア語はどうなのか。名簿を何度スクロールしても書いていない。二つめは分野。建設に強いのか、介護の経験があるのか、これも載らない。三つめは実績で、何人を何年支援してきたかという最も気になる部分が空白のまま残る。四つめは料金である。月額いくらか、初期費用がかかるのか、名簿からは一円も読み取れない。
いずれも各機関への個別確認が必要になる。つまり登録簿は、候補を絞り込む道具ではない。候補として話を進めていい相手かどうかを、最低ラインで確かめる道具だ。
全国の登録支援機関は約11,000件台ある(2026年7〜8月時点、ヤトエル自社集計)。
この数字を見て、選択肢が豊富だと感じるだろうか。私は逆の感想を持った。1万件を超えるということは、登録番号を持っている事業者が1万件以上あるという意味でもある。番号があることは、絞り込みの条件としてほとんど機能しない。
登録は、支援体制などの要件を満たして届け出た結果として与えられる。品質の格付けではない。だから、番号を確認したあとに始まる質問のほうが実質的な選定になる。
- 受け入れたい国の言語に、社内で対応できる人がいるか。外部の通訳に都度依頼する形か
- 自社と同じ業種の支援を、いま何件受けているか
- 月額の支援委託料に何が含まれ、何が別料金か(住居探しの同行、定期面談、行政への届出の代行など)
- 支援担当者一人が何人を担当しているか
最後の質問は、聞き逃されやすい。料金が安い理由が担当者の負担の重さにあるなら、困ったときに連絡がつかない形で跳ね返ってくる。
登録簿で名前も番号も一致した。それでも判断がつかない、という状態は普通に起こる。名簿は、その事業者が国の登録を受けていることまでしか教えてくれないからだ。
注意したい進め方
「登録番号を確認したので大丈夫」で契約に進むと、支援内容と料金の中身を確かめないまま長期の委託関係に入ることになります。番号の確認と、支援内容の確認は別の作業です。
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登録年月日も、見方によっては材料になる。設立から日が浅いこと自体が問題なのではない。ただ、登録年月日が最近であるのに「長年の実績」を強調している資料が出てきたら、その実績が別法人でのものなのか、担当者個人の経歴なのかを聞いておいたほうがいい。書面の数字と、口頭の説明が食い違う場面は、後から効いてくる。
冒頭の営業資料に戻ろう。あの番号は、調べれば5分で本物かどうかわかる。だから調べる。
そのうえで、名簿に書いていない四つ——言語、分野、実績、料金——を電話で順に聞く。これが受け入れ前の下調べの最小構成である。番号の確認は、その入口にすぎない。
残るのは、どこまで聞けば十分なのかという線引きだ。ここには正解がない。自社が何を自分でやり、何を任せたいのかが決まっていないうちは、相手に何を聞くべきかも決まらないからである。名簿を開く前に、その整理から始めてもいいかもしれない。