特定技能1号の在留期間は、通算で原則5年まで。2号には上限が無い。

これだけなら1行で終わる。実務で効いてくるのは、その5年をどう数えるかのほうである。働いていない期間が入ったり、逆に休んだ期間が入らなかったりする。

通算5年に「入ってしまう」もの

出入国在留管理庁は、次の期間も通算に含まれるとしている。

  • 「特定技能1号」で在留中の、就労していない期間
  • 再入国許可による出国期間(みなし再入国許可による出国も含む)
  • 「特定技能1号」への移行を希望する場合の、在留資格「特定活動」の在留期間

3つめを見落としやすい。試験の結果待ちなどで特定活動に切り替えていた期間も、あとから5年の中に数えられる。

数え始めの時点についても答えがある。Q&Aによれば、通算在留期間は「特定技能1号」の上陸許可や変更許可を受けた日から計算される。

通算5年に「入らない」もの

逆に、次の4つは5年に含まれない。つまり、その期間のぶんだけ在留できる期間が後ろにずれる。

含まれないもの条件の要点
やむを得ない事情で再入国できなかった期間感染症の上陸拒否措置など
産前産後休業・育児休業の期間産前6週間(多胎妊娠は14週間)・産後8週間、育休は子が1歳まで(保育所に入所できない場合は1歳6か月、再延長で2歳)
病気・怪我による休業期間原則1年以下(労災に起因する場合は3年以下)。ただし連続した1か月を超える期間であること
特定技能2号評価試験等に不合格一定の要件を満たすと、通算在留期間が6年になる

4つめは性質が違う。休んだぶんを差し引くのではなく、「5年を超えて在留することについて相当の理由がある」と認められて、上限そのものが6年になる扱いである。

手続きの期限が、先にある

ここが受入企業にとっていちばん実務的な点になる。

上の取扱いは、黙っていて適用されるものではない。入管庁はこう書いている。

本取扱いを希望する場合は5年の通算在留期間が満了する前(概ね3か月前)に、下記の疎明資料を添付した上で、当該期間に応じた在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請又は在留期間更新許可申請をし、疎明資料から当該期間が確認でき、その在留を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、許可がされます。

つまり、5年が来てから相談しても遅い。産休・育休や長期の病欠があった人については、その時点で疎明資料(申立書、母子健康手帳の写し、タイムカードの写しなど)を揃えはじめる必要がある。

通算が何年になっているかは、窓口では教えてもらえない

これも押さえておきたい。入管庁は、通算在留期間を把握する方法として出入国記録の開示請求を案内している。請求書の余白に「通算在留期間の確認のため」と明記する、という具体的な指示まで書かれている。

そのうえで、注意が続く。

地方出入国在留管理局の開示請求窓口や電話では、通算在留期間の算定を含め出入国記録に関するお問合せは一切受け付けていないため御留意願います。

開示されるのは出入国歴・在留資格・許可年月日であって、通算何年何か月という算定結果ではない。数えるのは請求した側の仕事になる。「電話で聞けばわかる」という前提で段取りを組むと、そこで止まる。

契約が終わっても、在留期間が終わるわけではない

雇用契約と在留期間は別のものである。Q&Aの整理はこうなっている。

  • 雇用契約が満了しても直ちに帰国が必要になるわけではなく、再雇用や転職で新たな特定技能雇用契約が結ばれれば、在留期間の範囲内で引き続き在留できる(転職の場合は在留資格変更許可申請が必要)
  • 失業しても、就職活動を行うのであれば少なくとも在留期間内は在留できる

ただし歯止めがある。正当な理由なく3か月以上「特定技能」に係る在留活動を行っていない場合は、在留資格が取り消されることがある。3か月という数字は、受入企業が転職の相談を受けたときの目安になる。

2号に移れる分野は、16のうち11

上限の無い2号へ進めるかどうかは、分野で決まる。特定技能1号の16分野のうち、介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業を除く11分野が2号の対象である。

工業製品製造業分野については、機械金属加工区分・電気電子機器組立て区分・金属表面処理区分に限られる。

介護分野が2号の対象から外れているのは、介護福祉士という別の在留資格の道があるためで、行き止まりという意味ではない。

数える前に確認すること

  1. その人の「特定技能1号」の上陸許可または変更許可の日を確認する
  2. 移行待ちで「特定活動」だった期間があれば、それも足す(通算に入る)
  3. 産休・育休・長期の病欠・再入国できなかった期間があれば、差し引ける可能性がある
  4. 差し引きたい場合は、5年の満了の概ね3か月前までに疎明資料を添えて申請する
  5. 自社で数えきれないときは、出入国記録の開示請求で材料を取り寄せる

在留期間の決定・更新そのものは出入国在留管理庁の審査による。ここに書いたのは公表資料の記載であって、個別の可否を保証するものではない。判断が分かれそうな事案は、地方出入国在留管理局に相談するのが確実である。

出典

いずれも2026年8月28日に取得した。制度の運用に関わる情報は更新されるため、申請の前に必ず原典を確認してほしい。