特定技能の在留資格には、会社を変えられないという決まりはありません。ただし、通常の中途採用のように、内定後すぐ新しい会社で働き始められるわけでもありません。転職できる業務の範囲を確認し、新しい受入企業を前提とした在留資格変更許可を受け、旧受入企業・本人・新受入企業がそれぞれ必要な手続きを進めます。
受入企業が最初に押さえたいのは、「同じ特定技能の在留資格だから、そのまま勤務先だけ変更できる」わけではないという点です。出入国在留管理庁の運用要領では、指定書に記載された特定技能所属機関を転職により変更するときは、在留資格変更許可を受けなければならず、申請中は変更予定の就労先で働けないと示されています。
特定技能外国人が転職できるのは、原則として次の範囲です。
- 同一の業務区分内
- 試験等により技能水準の共通性が確認されている業務区分間
同じ特定産業分野の中にも複数の業務区分があるため、「分野名が同じ」という確認だけでは足りない場合があります。採用予定の仕事内容が、本人の試験合格または技能実習修了で認められた業務区分に対応するかを確認してください。別の分野へ移る場合は、その分野で求められる技能試験等の要件も確認します。
特定技能制度に関するQ&Aで転職できる範囲を確認する
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| 誰が行うか | 主な手続き | 時期の要点 |
|---|
| 旧受入企業 | 特定技能雇用契約の終了に係る届出。事由により受入れ困難に係る届出 | 契約終了等から14日以内。受入れ困難の届出は原則として契約終了届より先 |
| 特定技能外国人本人 | 所属(契約)機関との契約終了、新しい契約の届出 | それぞれの事実が生じた日から14日以内 |
| 本人・新受入企業 | 新しい受入企業を前提とする在留資格変更許可申請 | 新しい会社で働き始める前 |
同じ出来事でも、会社側の届出と本人側の届出は別の手続きです。どちらか一方を出せば終わると考えず、担当者と期限を分けて管理します。
1. 退職理由を確認する
まず、本人の自己都合退職なのか、経営上の都合、解雇、病気・けが、行方不明などにより受入れを続けられないのかを確認します。理由により「受入れ困難に係る届出」が必要かどうかが変わるためです。
本人から自己都合退職の申出があった事実だけを理由として、受入れ困難に係る届出を出す必要はないと案内されています。ただし、その後に実際に退職したときは、雇用契約終了の届出が必要です。
会社都合の解雇予告など、受入れ困難となる事情が生じた場合は、その時点から14日以内に受入れ困難に係る届出を行います。原則として、雇用契約終了の届出より先に提出します。
2. 雇用契約終了を14日以内に届け出る
特定技能雇用契約が終了したら、旧受入企業は終了日から14日以内に「特定技能雇用契約の終了に係る届出」を提出します。契約満了、自己都合退職、会社都合退職など、終了の形に応じて必要書類を確認してください。
特定技能雇用契約に係る届出の様式と提出先を確認する
受入れ困難に係る届出が必要な場合を確認する
3. 会社都合なら転職支援を実施する
人員整理など受入れ側の都合で雇用契約を解除する場合、1号特定技能外国人への義務的支援には転職支援が含まれます。主な内容は、転職先を探す手伝い、推薦状の作成、求職活動のための有給休暇の付与、必要な行政手続の情報提供です。
登録支援機関へ支援の全部を委託している場合でも、退職日、本人の希望、転職支援の担当、届出を誰が準備するかを、受入企業と登録支援機関で決めてください。会社側の届出義務まで自動的に移るわけではありません。
特定技能外国人本人は、旧会社との契約が終了したときと、新しい会社と契約したときに、所属(契約)機関に関する届出を行います。期限は、それぞれの事実が生じた日から14日以内です。
この届出は、在留資格変更許可申請とは役割が異なります。本人へ「会社が手続きするから何もしなくてよい」と伝えず、本人が行う届出の方法と期限を、理解できる言語で案内します。
所属(契約)機関に関する届出を確認する
1. 業務区分と受入要件を確認する
求人の職種名だけで判断せず、実際に任せる業務が特定技能の業務区分に含まれるか、本人が必要な技能を証明できるかを確認します。分野所管省庁が定める協議会加入や上乗せ基準がある場合は、その手続きも進めます。
2. 特定技能雇用契約を結ぶ
報酬額、労働時間、休日、業務内容、勤務地などが特定技能雇用契約の基準を満たすようにします。本人が十分に理解できる言語で雇用条件を説明し、署名を受けます。
3. 1号の支援計画を作る
特定技能1号を受け入れる場合、新しい受入企業を前提とした1号特定技能外国人支援計画を作ります。自社で支援体制を満たせない場合は、登録支援機関へ支援の全部を委託できます。
転職前の会社で支援を受けていても、住居、通勤経路、相談担当者、医療機関、災害時の避難先などは変わります。新しい生活・就労環境で必要な案内と支援を組み直してください。
4. 在留資格変更許可申請を行う
受入企業が変わる場合は、特定技能の在留資格変更許可申請が必要です。現在の在留カードの期限が残っていても省略できません。
許可が出る前に新しい会社で働かせることはできません。入社日を先に確定して勤務を始めるのではなく、申請準備、申請、審査、許可、就労開始の順で日程を組みます。
特定技能外国人受入れに関する運用要領を確認する
転職時は、個人情報の取扱いと本人の同意に注意しながら、次を確認します。
- 本人の在留カードと指定書
- 試験合格証明または技能実習の良好修了を示す資料
- これまでの特定技能1号の通算在留期間
- 旧会社の雇用契約終了日
- 新しい会社との雇用契約開始予定日
- 旧会社で行った支援の内容と、未完了の支援
- 住居、口座、携帯電話、社会保険、税に関する変更の有無
- 本人が理解できる言語と通訳体制
- 相談担当者と緊急連絡先
旧会社から書類を受け取れない場合や、退職理由をめぐって争いがある場合は、本人だけに調整を任せず、地方出入国在留管理官署、労働局、ハローワークなど適切な窓口へつなぎます。個別の在留可否は、提出資料と入管の審査で決まります。
転職を禁止する誓約や違約金で引き留めることは、適切な対応ではありません。受入企業ができるのは、雇用条件と実際の勤務を一致させ、相談できる経路を用意し、問題が小さいうちに対応することです。
特定技能1号では、本人とその監督者に対する定期面談を3か月に1回以上行います。面談を形式だけで終わらせず、次を確認してください。
- 雇用契約どおりの業務、賃金、労働時間になっているか
- 母語または十分に理解できる言語で相談できるか
- 住居、通勤、医療、行政手続で困っていないか
- 職場で説明されていないルールや、相談しにくい問題がないか
- 転職を考えている場合、その理由は仕事、生活、将来設計のどこにあるか
定着のために大切なのは、転職できないと思わせることではなく、本人が安心して働き続けられる条件を整えることです。
1号特定技能外国人への義務的支援を確認する
同じ分野なら、転職先ですぐ働けますか?
働けません。受入企業を変更する在留資格変更許可申請を行い、許可を受けてから新しい会社で就労します。申請中は変更予定の就労先で働けません。
自己都合退職でも、旧受入企業の届出は必要ですか?
雇用契約が終了したら、雇用契約終了の届出が必要です。本人から自己都合退職の申出があったことだけを理由に、受入れ困難に係る届出を出す必要はないと案内されています。
会社側が届出をすれば、本人の届出は不要ですか?
会社側の特定技能雇用契約に係る届出と、本人の所属(契約)機関に関する届出は別です。本人は旧契約の終了と新契約の締結について、それぞれ期限を確認して届け出ます。
別の分野へ転職できますか?
転職先の分野・業務区分で求められる技能を本人が持つことを、試験等で確認できれば可能性があります。個別の可否は、最新の分野別要領と入管の審査で確認してください。
登録支援機関は転職先を紹介してくれますか?
人員整理など受入れ側の都合で契約を解除する場合は、義務的支援として転職先を探す手伝い等を行います。本人の自己都合による転職で、どこまで支援するかは委託契約や支援内容を確認してください。職業紹介を行う場合は、職業安定法上の取扱いも確認が必要です。
転職者の受入れでは、本人の業務区分、在留期間、希望勤務地、対応言語に加え、支援をいつから誰が担うかを早めに決める必要があります。登録支援機関へ委託する場合は、転職者の受入れ実績、対応言語、地域、申請準備と生活支援の担当範囲を比較してください。
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このページは2026年10月6日に、出入国在留管理庁の特定技能制度に関するQ&A、運用要領、各種届出ページを確認しています。様式や運用は変更される場合があるため、実際の手続きでは最新の一次情報を確認してください。