監理費監理団体技能実習受入コストOTIT

監理費の相場はいくら?OTIT調査でみる実習生1人あたりの実際のコスト

内容確認基準日:2026-08-03

5分で読めます

この記事のポイント

  • OTITの調査(1,972団体に送付、有効回答631件)では、実習生1人あたりの初期費用は平均345,327円
  • 定期費用の月額平均は技能実習1号で30,280円、2号で28,963円。これとは別に不定期費用が平均143,774円ある
  • 平均額を単純に3年分積むと1人あたり約155万円、月あたり約43,000円の水準になる
  • 「初期費用一式」の見積もりは比較できない。区分ごとに用途と金額を明示するのは制度が前提とする手続き
  • 回答率は約33.8%。送出国・職種・人数・監査頻度で費用は動くため、平均額は桁の見当をつける目安にとどまる

監理団体を三つ回って、同じ条件で見積もりをもらったとしよう。一枚目は「初期費用一式」と書いてあるだけ。二枚目は月額だけが太字で、初期費用は「別途」。三枚目は項目が十行以上並び、金額欄の右にはところどころ「実費」とある。人数も職種も同じで頼んだはずなのに、横に並べてもどれが高いのか分からない。

相場を知らないから比べられないのだ、と考えていた。相場という物差しを一本手に入れれば、三枚に当てられる。そう思って公的な調査に当たると、数字はたしかに出てきた。ただ、その数字は物差しとしては少し使いにくい形をしていた。

調査が示した四つの数字

外国人技能実習機構が令和4年1月24日に公表した「監理団体が実習実施者から徴収する監理費等に関するアンケート調査の結果について」。1,972団体に調査票を送り、有効回答は631件、回答率にして約33.8%である。

区分実習生1人あたりの平均額
初期費用345,327円
定期費用(技能実習1号在留中)月額 30,280円
定期費用(技能実習2号在留中)月額 28,963円
不定期費用143,774円

初期費用と月額に目が行くが、四つ目で手が止まる。不定期費用が143,774円。初期費用の4割ほどにあたる額が、月額とはまったく別の場所に置かれている。

三年分を積み上げるといくらになるか

1号が1年、2号が2年。平均額をそのまま並べて積むと、こうなる。

  • 初期費用 345,327円
  • 1号期間の定期費用 30,280円 × 12か月 = 363,360円
  • 2号期間の定期費用 28,963円 × 24か月 = 695,112円
  • 不定期費用 143,774円
  • 合計 1,547,573円

36か月で割ると、1か月あたりおよそ43,000円。給与や社会保険料とはまったく別に、監理団体へ払う分だけでこれだけ動く。

ただし、この約155万円を見積書の隣に置いて「この団体は高い」と結論することはできない。区分ごとの平均を足し合わせた合成値であって、どこかに実在する請求書ではないからだ。初期費用が平均を上回る団体が、月額も上回るとは限らない。それでも、桁の見当をつける役には立つ。数十万円の話として社内に説明するのか、一人あたり百万円台の投資として説明するのかで、稟議の書き方はまるで変わる。

「初期費用」に何が入るかは団体ごとに違う

三枚の見積もりが比べられなかった理由の一つは、初期費用という一語が指す範囲が団体ごとに違うことである。求人の取次ぎに関わる費用、入国前後の講習に関わる費用、渡航や手続きに関わる立替。どこまでを初期に寄せ、どこからを月額に載せるかは、団体の運用によって分かれる。同じ「初期費用」という見出しの下で、中身の違うものを比べていたわけだ。

技能実習法では、監理費は職業紹介費、講習費、監査指導費、その他諸経費といった区分ごとに、実費に相当する適正な額を、あらかじめ用途と金額を明示して実習実施者の承諾を得たうえで徴収することとされている。内訳の提示を求めるのは、値切りの前段でも失礼な詮索でもなく、制度がもともと前提にしている手続きである。「一式」で止まっている見積もりは、その手続きの途中にある。

もう一つの理由は時間軸にある。月額に含まれる業務と、都度請求される業務の線引きが、書面の上でそろっていない。不定期費用の平均が143,774円あるという調査結果は、この都度請求の側に相応の重さがあることを示している。契約前に確かめるべきは月額の大小だけではない。どういう場面で、どの区分で、いくら発生しうるのか。ここが空欄のままだと、三年経ってから合計が合わなくなる。

平均をそのまま自社に当てはめられない理由

回答率は約33.8%。おおよそ3団体に1団体が答えた計算になる。631件という数は少なくないが、全体の姿がそのまま写っているとまでは言えない。加えて、平均値は中心の目安を示すだけで、ばらつきの幅までは教えてくれない。送出国、職種、一度に受け入れる人数、入国後講習の実施形態、監査や訪問指導の頻度、母国語で相談できる体制の厚み。どれか一つ違えば、金額も動く。

平均より安い見積もりに出会ったとき、確かめるのは金額そのものよりも、そこに含まれていない業務のほうである。訪問指導の回数、通訳の対応時間、行政手続きの代行範囲。含まれない業務は消えてなくなるわけではなく、不定期費用として後から現れるか、受入企業の担当者の残業として残る。逆に平均より高い見積もりでも、その差額が監査や相談体制の実態に対応しているなら、高いとは言い切れない。判断の材料は、金額の隣に業務が書かれて初めてそろう。

契約前に埋めておきたい欄

  • 初期費用に含まれる区分と、その用途・金額の内訳
  • 月額に含まれる業務の範囲(監査・訪問指導の頻度、通訳対応の可否)
  • 不定期費用が発生する場面と、その算定根拠
  • 1号期間と2号期間で月額が変わるか、変わるならその理由
  • 監理費とは別に企業が直接負担する費用として何があるか

五つが埋まれば、金額は「三年間の総額」と「その間に誰が何をするか」の二列に整理できる。ここまで来て、ようやく三枚は同じ表に載る。

三枚の見積もりに戻る

一枚目には内訳を求める。二枚目には初期費用と不定期費用を書き足してもらう。三枚目の「実費」の欄には、想定される金額を入れてもらう。そうして並べ直したとき、見えてくるのは金額の差ではなく業務量の差であることが多い。安いほうが得か、高いほうが安心かという問いは、その差が見えてからでないと立てられない。

一つだけ、まだ答えの出ない点が残る。ここで見た数字は、技能実習制度の下で徴収されている監理費の姿である。制度が育成就労へ移り、監理団体にあたる機関の役割が組み替えられれば、費用の区分も水準も一度は動く。今の相場は、いま契約する企業のための目安であって、来年の目安ではない。数字は、そのときにまた取り直すことになる。


出典: 外国人技能実習機構「監理団体が実習実施者から徴収する監理費等に関するアンケート調査の結果について」(令和4年1月24日公表) https://www.otit.go.jp/upload/docs/220124-2.pdf

出典・参考(一次情報)

自社の場合の費用・助成金・支援機関を知りたい方へ

分野と条件を選ぶだけ。60秒でまとめて無料診断できます。

無料診断をはじめる

条件に合う支援機関に、まとめて相談できます

分野と地域を選ぶと、条件に合う機関が候補として出ます。 入力は会社名・ご担当者名・メールアドレスの3つだけです。

  • 相談も掲載も無料です
  • ヤトエルから営業電話はしません
  • 連絡が届くのは、あなたが選んだ機関だけ
  • 断っても費用はかかりません