育成就労で「優良」という言葉が出てくる場面は3つある。人数枠が広がるとき。転籍を受け入れる側になるとき。そして委託先の監理支援機関を選ぶとき。どれも受け入れの規模に直結する。
優良だと何が変わるか
一番大きいのは人数枠である。優良な監理支援機関から、地方に所在する優良な受入機関が監理支援を受ける場合、その受入機関の受入人数枠は基本人数枠の3倍になる(Q37)。
条件が3つ重なることに注意がいる。受入機関が優良であること、監理支援機関が優良であること、そして指定区域にあること。自社だけが優良でも3倍にはならない。
もう1つが転籍である。本人意向の転籍を受け入れられるのは、優良な育成就労実施者に限られる(Q48)。転籍が制度に入った以上、他社で1年から2年を過ごした即戦力を受け入れる道ができたわけだが、その入口が優良かどうかで閉じる。
受入機関の評価は6つの軸
Q&Aは、優良と認められる受入機関の考慮要素をこう挙げている(Q45)。
技能および日本語能力の修得に係る実績。育成就労を行わせる体制。育成就労外国人の待遇。出入国または労働に関する法令への違反、育成就労外国人の行方不明者の発生その他の問題の発生状況。育成就労外国人からの相談に応じることその他の保護および支援の体制と実施状況。育成就労外国人と地域社会との共生に向けた取組の状況。
技能実習の優良要件を知っている人には見慣れた並びだろう。点数配分は変わる可能性があるが、評価する対象そのものは大きく動いていない。
具体的な基準と手続の方法は、決まり次第、運用要領の中で示す予定とされている(Q46)。現時点では点数表がない。
監理支援機関の評価は5つの軸
監理支援機関側も同じ構造である(Q37)。
監理型育成就労の実施状況の監査その他の業務を行う体制および実施状況。監理支援に係る技能および日本語能力の修得実績。出入国または労働に関する法令への違反、行方不明者の発生その他の問題の発生状況。外国人からの相談に応じることその他の保護および支援の体制と実施状況。外国人と地域社会との共生に向けた取組状況。
これらを総合的に評価して、監査その他の業務を遂行する能力について高い水準を満たすかどうかを判断する。こちらも具体的な基準は未公表(Q38)。
基準が出てから作れないもの
未公表だからといって待っているだけでは間に合わない。6つの軸のうち、いくつかは過去の実績を見る性質のものだからである。
行方不明者の発生状況がその典型だ。受入機関の要件には、過去1年以内に受入機関または監理支援機関の責めに帰すべき事由で行方不明者を発生させていないことが挙がっている(Q40)。これは優良の話ではなく、そもそもの要件である。優良の評価でも同じ項目が見られる。
同種の業務に従事していた労働者を離職させていないことも、過去1年で見る(Q40)。自発的に離職した者などは除かれるが、人員整理をした直後に受け入れを申請する形は通らない。
待遇と相談体制も、記録が問われる。日本人と同等以上の賃金であること、相談を受けた記録が残っていること。基準が示されてから半年で作れるものではない。
監理支援機関を選ぶ側の視点
自社が優良でも、委託先が優良でなければ3倍にならない。監理支援機関の選定が、そのまま採用計画の上限を決める。
いま確認できるのは、許可基準を満たしているかどうかである。外部監査人を設置していること。債務超過がないこと。監理支援を行う受入機関が原則2者以上であること。監理支援事業の実務に従事する常勤の役職員が2人以上で、かつ受入機関の数を8で割った数と育成就労外国人の数を40で割った数の両方を上回っていること(Q34)。
最後の人数条件は、規模の小さい組合には重い。受入機関が16者なら常勤役職員は3人以上、育成就労外国人が120人なら4人以上が要る計算になる。委託先がこの体制を組めるかどうかは、いま聞ける。
外部監査人の要件も定まっている。養成講習を受講していること。弁護士、社会保険労務士、行政書士その他育成就労の知見を有する者であること。監理支援を行う育成就労実施者と密接な関係を有さないこと。外部性を担保していること。欠格事由に該当しないこと(Q36)。
いま聞いておくとよい3つ
委託先の監理支援機関に対しては、次の3つが具体的に聞ける。
監理支援機関の許可申請を出したか、いつ出す予定か。許可の受付は2026年4月15日から始まっている(Q3)。
外部監査人を誰に依頼しているか。士業の名前まで出るかどうかで、準備の進み具合が分かる。
常勤役職員が何人か。受入機関数と外国人数から逆算して、条件を満たすかどうかを自分で確かめられる。
よくある質問
優良の基準はいつ出ますか。
時期は示されていない。決まり次第、運用要領の中で示す予定とされているだけである(Q38・Q46)。
技能実習の優良認定を受けていれば、そのまま優良になりますか。
そうした引き継ぎの記載はない。監理団体が監理支援機関になるには改めて許可が必要とされており(Q33)、優良の判定も新制度の基準で行われる。
指定区域でなければ人数枠は広がらないのですか。
3倍になるのは、指定区域にある優良な受入機関が優良な監理支援機関の監理支援を受ける場合である(Q37)。優良であること自体による拡大は認められている(Q41)が、3倍という倍率は指定区域の扱いに紐づく。
ヤトエルでは、監理支援機関への移行を進めている監理団体を、所在地と許可区分から引ける形で公開している。委託先を比べるときの出発点にしてほしい。