何人受け入れられるのかは、受入計画の一番はじめに決まる数字だ。育成就労では技能実習の考え方を引き継ぎつつ、数え方が変わっている。
1号から3号までの区分がなくなった
技能実習には1号・2号・3号の区分があり、それぞれに枠があった。育成就労にこの区分はない(Q28)。
そのため人数枠は、1年目から3年目までの育成就労外国人の合計で定められる(Q41)。ここが実務では効く。同一の事業年度に、枠の上限まで一度に受け入れることもできる。技能実習のように毎年少しずつ積み上げる必要がない。
枠そのものは、育成就労実施者の常勤職員数に応じて決まる。常勤職員が少ない事業所ほど枠が小さくなる構造は変わっていない。
技能実習生も頭数に入る
見落としやすい経過措置がある。人数枠の計算では、引き続き技能実習を行っている1号技能実習生と2号技能実習生の数も、育成就労外国人の数として数える(Q41)。
施行日をまたいで技能実習生を抱えたまま育成就労を始める場合、その分だけ枠が埋まっている状態からのスタートになる。2027年4月時点で何人残る見込みかを先に数えておかないと、受入計画が過大になる。
3倍になる条件は、3つ重なったとき
枠を広げる仕組みが用意されている。条件が3つ重なる。
受入機関(育成就労実施者)が優良である。委託先の監理支援機関も優良である。そのうえで、受入機関の所在地が指定区域に入っている。この3つが揃うと、受入人数枠は基本人数枠の3倍になる(Q37)。
優良な受入機関であるだけでは足りない。委託先の監理支援機関が優良でなければ3倍にならない。監理支援機関の選び方が、そのまま自社の採用規模に効いてくる。
指定区域から外れる8都府県
指定区域は、大都市圏への過度な集中を避けるための地方配慮として、法務大臣と厚生労働大臣の告示で定められる(Q42)。
告示では、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県を除いた道県が指定区域とされている。加えて、この8都府県の中でも一部の地域は指定区域に含まれる。県庁所在地を離れた地域などが該当する形になる。
自社が指定区域かどうかの判断を、本店所在地で見るのか就労先で見るのかという論点も立っている(Q43)。事業所が複数ある企業は確認しておきたい。
優良の基準が、まだ出ていない
3倍の条件のうち2つが「優良かどうか」に掛かっているのに、その具体的な基準は公表されていない。
受入機関側の優良は、技能と日本語能力の修得実績、育成就労を行わせる体制、外国人の待遇、法令違反や行方不明者の発生状況、相談・保護・支援の体制と実施状況、地域社会との共生に向けた取組の状況という6つの要素で判断される(Q45)。ただし具体的な基準と手続は、決まり次第、運用要領の中で示す予定とされている(Q46)。
監理支援機関側の優良も、監査の体制と実施状況、技能・日本語能力の修得実績、法令違反や行方不明者の発生状況、相談・保護・支援の体制と実施状況、地域社会との共生に向けた取組状況の5要素で総合評価する(Q37)。こちらも具体的基準は未公表(Q38)。
いま準備できるのは、6つの要素それぞれについて記録を残しておくことくらいである。行方不明者を出さない。待遇を日本人と同等以上に保つ。相談窓口を実際に機能させる。どれも基準が出てから急に作れるものではない。
枠があっても止まることがある
自社の人数枠に余裕があっても、分野全体の受入上限に達すると育成就労計画の認定が一時停止する(Q22)。すでに雇用契約を結んでいても、原則として認定を受けられない。
分野ごとの受入見込数は、特定技能1号と育成就労を合わせて2028年度末までに約123万人。育成就労はそのうち42万6,200人である(Q20)。
よくある質問
常勤職員数には、どこまで含まれますか。
技能実習の考え方を引き継ぐとされている。詳細は運用要領で示される。
優良でない場合、枠はどうなりますか。
基本人数枠のままである。3倍の拡大は、優良な受入機関が優良な監理支援機関の監理支援を受け、かつ指定区域にある場合の扱いになる(Q37)。
東京の会社は絶対に3倍にならないのですか。
8都府県のうちの一部の地域は指定区域に含まれるとされている(Q42)。自社の所在地が該当するかどうかは告示で確認する必要がある。
ヤトエルでは、監理支援機関への移行を進めている団体を都道府県から引ける形にしている。指定区域の判断と合わせて、地元で動いている先を確認してほしい。