育成就労の日本語まわりは、数字が2つ出てくるせいで混乱しやすい。A1とA2、どちらも100時間。何がどちらに掛かるのかを分けておく。
まずここを押さえておきたい。入国の時点で求められる技能や日本語能力の要件はない(Q56)。A1相当の試験に受かっていないと入国できない、という制度ではない(Q67)。
要件が掛かるのは就労開始前までである。次のどちらかを満たす。
A1相当以上の日本語能力の試験に合格しているか。合格していない場合は、認定日本語教育機関の「就労」課程のA1相当の講習を100時間以上受講する。
この講習は入国後講習の中で行うことになっていて、一部を本国で実施することもできる(Q64)。すでにA1相当の試験に受かっている人は、この講習を受ける必要がない。ただし入国後講習で日本語の科目そのものは受けることになり、その場合の講習は認定日本語教育機関によるものでなくてもよい(Q68)。
施行後しばらくの間は、認定日本語教育機関だけでなく、日本語教育機関認定法に基づいて登録を受けた登録日本語教員による講習も、一定の要件のもとでA1相当講習として認められる(Q56・Q64)。教育機関の数が足りないことへの手当てだろう。
育成就労の目標としての日本語は、3年間を通じてA2相当を修得し、試験に合格することである(Q63)。特定技能1号へ移行するのに必要な水準がここに置かれている。
途中の目安も決まっている。育成就労の開始から1年以内に、A1相当の日本語能力を修得して試験を受けることが求められる。中間的な評価という位置づけで、合格ではなく受験が求められている点が読みどころだ。
1年目の試験と3年目の試験は、業務区分ごとに分野別運用方針で定めている。分野の特性に応じてA2より高い水準を置くこともできる。介護のように、もともと言語能力が重い分野は上がる可能性がある。
受入機関には、3年の間にA2相当の講習を100時間以上受けられる機会を提供する義務がある(Q64)。事前にA2相当の試験に合格している人には、改めて受けさせる必要はない。
つまり、入国前後のA1相当100時間と、3年間のA2相当100時間。合わせて200時間ぶんの講習が制度の前提になっている。
費用は、育成就労実施者または監理支援機関が負担する(Q66)。本人負担ではない。ここは技能実習からの大きな変更で、受け入れの見積もりに効く。
受講時間の扱いには救いがある。A2目標講習を受けている時間を労働時間として扱うことまでは義務づけられていない(Q69)。賃金を払う義務は生じないという整理になる。
受講そのものはオンラインでも構わない。ただし、双方向で同時にコミュニケーションを取れるものであることなど、一定の要件を満たす必要がある(Q65)。録画を見せるだけの形は通らない。
地方の受入機関にとっては、この点が実務を左右する。近くに認定日本語教育機関がない場合でも、オンラインで条件を満たせば足りる。
日本語の費用は、監理費や支援委託費とは別建てで請求されることがある。契約前に確認しておきたいのは3つ。
A1相当100時間ぶんが監理費に含まれているのか、別料金なのか。A2相当100時間ぶんの手配を監理支援機関がやるのか、企業が自分で探すのか。本国での事前学習をどこまでやってから送り出すのか。
ヤトエルの掲載機関には、費用の内訳を機関ご本人に確認して掲載しているものがある。見積もりを比べる前に、何が含まれているかの言葉づかいを揃えておくと話が早い。
日本語能力試験のN5とは違うのですか。
育成就労で使うのは日本語教育参照枠のA1・A2という区分である。N5などの試験区分とは体系が異なる。具体的にどの試験を用いるかは、業務区分ごとに分野別運用方針で定められている(Q63)。
A1に受からないまま就労を始められますか。
A1相当の試験に合格していない場合は、認定日本語教育機関の「就労」課程のA1相当講習を100時間以上受けることで足りる(Q56)。
3年でA2に受からなかったらどうなりますか。
特定技能1号への移行に必要な試験に不合格だったときは、最長1年の範囲で一定の在留継続を認める方針が示されている(Q11)。
日本語講習の費用を本人に負担させられますか。
できない。育成就労実施者または監理支援機関が、費用の負担を含めて必要な措置を取ることとされている(Q66)。