「うちは5年いてもらう前提で採用計画を立てています」。受け入れを検討している会社から、そう聞くことがある。3年ではなく5年。設備投資の回収期間とも、社内での育成の見通しとも噛み合う数字だ。
そのつもりで問題ない、とは思う。ただ、5年は自動的に手に入る年数ではない。1号から2号、2号から3号へ進むたびに、通らなければならない門がある。しかも3号の門は、受け入れ企業が努力すれば必ず開くというものでもない。
技能実習には1号・2号・3号という段階がある。名前は連番だが、性格は同じではない。
最長5年
内訳はこうだ。技能実習1号の在留期間は最長1年。2号は最長2年で、1号と合わせて通算3年になる。3号がさらに最長2年で、ここまで通してようやく最長5年に届く。
1年、2年、2年。足すと5年。数字だけ見れば単純である。厄介なのは足し算そのものではなく、次の段に進めるかどうかが、実習生本人の頑張りだけでは決まらない点にある。
1号から2号へ進む段は、技能実習制度を使っている会社であれば比較的よく知られている。ここで多くの会社が「3年」という感覚を持つ。
問題は、その先だ。3号への移行には、二つの条件が同時に満たされていなければならない。監理団体(=実習生の受け入れを支援し、企業を指導する団体)が「一般監理事業」の許可を受けていること。そして実習実施者、つまり受け入れる企業自身が「優良な実習実施者」の認定を受けていること。この両方である。
見落としやすいところ
自社が優良認定を取っていても、組んでいる監理団体が一般監理事業の許可を持っていなければ、3号には進めない。逆もまた同じで、監理団体側が条件を満たしていても、受け入れ企業が認定を受けていなければ道は開かない。片方だけでは足りない。
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つまり3号の可否は、自社の中だけで完結しない。どの監理団体と組むかという、受け入れ体制を決める最初の段階の選択が、4年目・5年目の在留に効いてくる。5年の計画を立てるなら、監理団体を選ぶ時点でその許可区分を確認しておく必要がある。
条件を満たしていたとして、移行はそのまま連続するわけではない。
2号から3号に移る際には、1か月以上の一時帰国が必要になる。書類上の手続きではなく、実際に母国へ戻る期間である。現場から見れば、その間その人はいない。
- 技能実習2号の期間が終わりに近づく
- 技能検定3級相当の実技試験に合格する
- 1か月以上、母国へ一時帰国する
- 技能実習3号として再び入国し、最長2年の実習に入る
もう一つの条件が試験だ。技能検定3級相当の実技試験に合格していること。学科ではなく実技が問われる。日々の作業をこなしていれば自然に受かる、という性質のものではない。試験の形式に沿った練習が要る。
合格しなければ3号へは進めない。ここは、受け入れ企業の指導の密度がそのまま結果に出る部分でもある。試験の直前に慌てて対策を始めて間に合わなかった、という話は珍しくない。2号の期間に入った時点から逆算しておくのが現実的だろう。
ここまで条件の話をしてきたが、その前段でつまずくこともある。
技能実習3号の対象職種は限定されている。技能検定3級相当の試験区分がある職種でなければ、そもそも3号には進めない。移行の条件を満たす以前に、道が用意されていない場合がある。
3級相当の試験区分がある職種
優良認定と一般監理事業の許可、一時帰国、実技試験合格という条件を満たせば、通算最長5年の受け入れが視野に入る。
試験区分がない職種
3号への移行そのものができない。受け入れ計画は通算3年を前提に組む必要がある。
自社が受け入れようとしている作業が、どの職種・作業区分にあたるのか。そして3級相当の試験があるのか。ここは採用を動かす前に確認しておきたい。5年を前提に人員計画を組んでから「この職種には3号がない」と気づくと、4年目の穴を別の手段で埋めることになる。
冒頭の「5年いてもらう前提」に戻る。その前提が成立するかどうかは、四つの点で確かめられる。職種に3級相当の試験区分があるか。組む監理団体は一般監理事業の許可を持っているか。自社は優良な実習実施者の認定を取れる状態か。そして、2号のうちに実技試験の対策と、1か月以上抜ける期間の人員手当てを用意できるか。
どれか一つでも欠ければ、計画上の5年は3年になる。逆に言えば、この四つは受け入れ開始前におおむね見通しが立つものでもある。
ここが大事
3号に進めるかどうかは、実習生本人の努力より先に、受け入れ側の体制で決まる部分が大きい。監理団体の許可区分と自社の優良認定は、受け入れを始める前から動かせる要素である。
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残るのは、優良な実習実施者の認定をどう取りにいくかという実務だ。ここは技能実習の実施状況や法令遵守、生活支援の体制などが総合的に見られる領域で、一朝一夕には整わない。制度の詳細は外国人技能実習機構の公表資料で確認できる。
出典: 外国人技能実習機構「技能実習制度の概要」 https://www.otit.go.jp/gaiyou/